日本各地に建つ集合住宅「マンション」。
そこには多くの人々が暮らしており、常駐の警備員がその方たちの暮らしを守っています。
ですが、どんな仕事をしているのか、どんな部分を警備しているのかは、実際あまり知られていないように見受けられます。
今回の記事では、マンション警備に「どんな特徴があるか?」や「今後に活かせるポイント」などをお伝えしていきます。
目次
仕事の特徴について
マンション警備は、警備の種類としては「1号警備」に該当し、一般的には “施設警備”という括りで呼ばれることが多いです。
他にも、商業施設やオフィスビルなどの警備がこの施設警備に当てはまりますが、それぞれの施設によって警備対象や仕事内容などが若干変わってきます。
では、マンション警備にはどういった特徴があるのでしょうか?
仕事内容
マンションで暮らす人たちが安心して過ごせるよう、不審人物の侵入を防いだり、災害時の緊急対応を行ったりするのが主な業務となります。
具体的には、マンション内や周辺を徒歩や自転車で回る「巡回警備」、玄関などに立って門番のような役割を果たす「立哨警備」、防犯カメラ・センサー等を使用した「監視業務」など、安心・安全を守るための業務を行います。
どんな待遇が多い?(給与・勤務時間・雇用形態)
・雇用形態について
施設警備全体で見ると、正社員・契約社員が約9割、アルバイトが約1割と、本業として働いている傾向が多いように感じられます。
正社員・契約社員の割合が多い理由としては、「1つの場所に常駐して警備をすることが多い」というのが理由として挙げられます。
また、勤務地が固定なことに加え、勤務時間も原則決まっており、アルバイトという形態が性質上向かないため、正社員・契約社員が多い傾向にあるのです。
マンション警備もこの傾向は基本的に同じで、アルバイトの形態はあまり見られないでしょう。
・勤務時間について
詳細な時間は警備会社によって違いはありますが、基本的に「日勤」「夜勤」「当務」の3パターンのシフトで動くことが多いです。
勤務する時間帯で業務内容が大きく異なることはないですが、夜勤帯はマンションの居住者が寝ていたりするので、緊急時の対応はその辺りにも気を遣いながら行うことになるでしょう。
・給与について
先述の雇用形態の話でもお話ししましたが、マンション警備は正社員・契約社員が多い傾向にあるため、月収が大きく変わることはなく、安定した収入を得ることができます。
また、社会保険や賞与、会社によっては退職金制度やスキルアップのための全額支援など、社員として長く続けられるような待遇が揃っていることも特徴の1つと言えます。
他の警備種類と比較しての違い
マンション警備は施設警備の枠にカテゴライズされますが、施設警備といっても様々な施設があり、それぞれの勤務地で若干の違いがあります。
警備対象・目的の違い
人物や施設を守るという大枠の部分では、どの施設警備も同じです。
一番の違いが出る部分は、守る対象が変わるので、見るべきポイントも変わってくるという点です。
例えば、商業施設の警備であれば、目的が「買い物に来た人たちを守る」ことなので、警備対象は“買い物に来た不特定多数の人たち”、1日で数百~数千人を警備することになります。
土日などは利用者が増えるので忙しさには波があり、年末年始やGWなどの大型連休などには買い物客が押し寄せ、警備員の数も必要になってきます。
一方、マンション警備の場合は「マンションに住む人々を守る」というのが目的なので、警備対象は“マンションに住む特定の人々”で、平均数百人ほどを警備することになります。
こちらは、住居者の数が毎日変わるということはなく、繁忙期や閑散期なども特にないため、時期や曜日によって警備対象数が変わるということはありません。
警備のポイント
「不審者が入らないようにする」などの注意点は、警備を行う全ての施設に共通しますが、どこが危険な箇所であるかは、施設によって変わってきます。
オフィスビルの場合は、1階がロビーで2階からフロアという構造が多いので、玄関口のある1階が一番侵入の可能性が高いエリアです。
また、1階に飲食店などがあると、誰でも出入りが可能なので、完全に侵入を許さないというのはかなり困難を極めます。
2階から入ってくる可能性も排除はできませんが、ベランダがなく取っ掛かりもない上にガラスの強度もあるので、可能性としては低いと言えるでしょう。
そのため、そういう不審人物が周辺にいないかモニターで監視したり、ロビーを巡回して実際に目視で確認することがポイントになってきます。
マンションの場合ですと、警備員が常駐している玄関から侵入するよりも、外から侵入することの方が可能性的には高いと思われます。
部屋が2階や3階であっても、オフィスビルよりも1フロアの高さがないので、ベランダやバルコニーからの侵入も可能で、窓ガラスの強度もオフィスビルほど強くはないでしょう。
そのため、外の巡回が重要なポイントになり、規則的なルートで行うよりも少し不規則なルートで行う方が効果が期待できます。
マンション警備だけの特徴
マンションでの警備は“住人”という身近な存在を警備するため、警備する人の顔をより認識しやすくなります。
「巡回中にいつもあいさつをしてくれる人」がいたり、「声をかけてくれる人」がいたりなど、他の警備ではあまり味わえない“ハートフルな気持ち”になるのも、このマンション警備の良い部分です。
こうした背景があるのは、「オートロックの異常」や「住民同士のトラブル」など、緊急時の対応が生活に関わる部分が多いため、住民にとってはより親しみやすいと感じられるのではないでしょうか?
今後に役立つこともたくさん身に付く
様々な仕事をする中で、「この作業が役に立った」「この経験が活きた」と後々感じる場面があると思います。
それはマンション警備も同じで、普段行っている業務が、生活や違う職種でも活かされる瞬間が少なからず訪れます。
マンション警備は、そこに住む人たちの命や暮らしを守るという職業なので、“人々を守る”という使命感や責任感が求められます。
また、緊急時の対応などに冷静に対処することで、あらゆる場面での対応力が身につき、平常心を保ちやすくなります。
さらに、住人たちと一定の信頼関係を築いていく中で、コミュニケーション力も知らず知らずに身についていきます。
これらのことは、警備員以外の職業でも大切な要素であり、決して無駄にはなりません。
今後、他の仕事に転職した際やキャリアアップした際にも、必ず自分の糧になることでしょう。