雑踏警備に必要な資格は?取得方法や業務内容も紹介

ライブイベントや人が大勢集まるお祭り行事などで警備することを雑踏警備と言います。

雑踏警備の仕事の目的は、そのような場での混乱や事故などの防止です。そのほかには、歩行者の道の確保や案内、人の集中の回避などを行っています。

雑踏警備の仕事を行うにあたって、事前に必要な資格・詳細な業務内容を把握しておくことが重要です。

今回はその雑踏警備の仕事に就くのに必要な資格や資格の取得方法、雑踏警備の仕事内容について解説します。

雑踏警備に必要な資格

まずは雑踏警備の仕事と必要な資格を確認していきましょう。

そもそも雑踏警備とは

雑踏警備とは、交通誘導警備業務と合わせて警備業法上2号警備業務の一つに該当します。基本的に、不特定多数の人が集まる場所でトラブルの発生や事故発生を未然に防ぐのが目的です。

コンサート会場や花火会場、スポーツの試合やイベントを行う競技場などで行う警備が、雑踏警備に該当します。このような場所では、一定の箇所に多くの人が一気に集まり、死傷事故などが起こるリスクが高くなるものです。

雑踏警備は、他にも「イベント警備」「催事警備」「イベント誘導」といった呼び方もされており、求人情報でも記載方法が様々な印象があります。

法令上、雑踏警備が何を警備対象とするのかについては明確には定められていないので、配属先によって警備対象が変わる事もあるかもしれません。

まずは雑踏警備2級の取得を目指す

雑踏警備に関係する資格は、雑踏警備業務検定1級と2級があります。雑踏警備の現場にて、負傷者が出る事故を警戒・防止する為に、必要な知識や技能があることを証明する資格です。警備業務ごとに検定資格があるので、他の警備職種と間違えないように注意が必要です。

資格取得の第一歩としては、受験資格に縛られない2級検定の方が挑戦しやすいでしょう。

雑踏警備2級検定資格を取得するメリット

雑踏警備業務の資格を持っていなくても、雑踏警備に従事することは可能です。しかし持っているとさまざまなメリットを得られます。

資格を持っている人物を配置しなくてはいけないという基準があることから、資格を持っていると会社からも優遇され、資格手当や昇給の対象になるでしょう。また昇格も期待できます。

就職や転職をする際にも資格があると有利です。資格を持っている人はまだまだ少なく需要が高いのが現状。

また緊急時の対応や救護などの知識がつくことから、業務をする際に自信をもって行うことができます。突発的なトラブルでも冷静に判断できるので、同僚やお客様からの信頼を得られるでしょう。

2級取得後1年以上の実務経験を積めば1級にチャレンジでき、指導教育責任者資格の取得などスキルアップも望めます。

雑踏警備2級検定資格の取得方法

雑踏警備検定2級の取得には、登録講習機関が行う講習会を受講するか、公安委員会が行う検定を受験する方法があります。

講習会は学科と実技講習を受けた後、修了考査に合格すれば資格がもらえます。取得はしやすいですが、講習代など費用がかかります。

検定を受験する方法は、自学自習で学科と実技試験に合格すること。難易度が高めですが、費用は抑えられるでしょう。

いずれの場合も、会社によっては取得費用を負担してくれることもあります。

特別講習会で資格を取得する場合

雑踏警備検定を特別講習会で取得する場合は、各都道府県警備業協会、又は警備員特別講習事業センターで開催される講習会を受講する必要があります。またその場合、警備会社に所属してから申し込むケースが多くみられます。

東京都警備業協会の特別講習会 ※警備員対象

東京都警備業協会に会社から申込む場合は、勤め先の会社が東警協の会員か非会員かによって、申込み方法が変わって来ます。

【申込方法】
▽東京都警備業協会の会員会社が申込む場合
個人での申込は受付けておらず、東京都警備業協会の会員会社が特別講習の担当者を通して申込します。
毎年、東京都警備業協会から会員会社宛てに、「特別講習受講希望調査票」が送られてくるので、それによって割り当てられます。会社側は希望種別の追加、人員変更がある場合、東警協の特別講習担当者に連絡をしなければなりません。

☆警備会社に所属していて、講習会に参加希望の方は、お勤め先が東警協の会員か確認してみてください。

▽非会員会社・他都道府県会社から申込む場合
東京都警備業協会の会員では無い会社につきましては、「特別講習受講希望届書(非会員用)」に必要事項を記入して、FAXか郵送で申込が出来ます。
講習会当日の約一ヵ月前、特別講習会に参加可能な場合のみ、東京都警備業協会より会社宛てに連絡があります。
※「特別講習受講希望書(非会員用)」は、東京都警備業協会の公式HPでダウンロードが可能です。

【受験資格】
雑踏警備2級…警備会社に所属している警備員。警備業法における新任教育を受けていること。
雑踏警備1級…雑踏警備2級の検定合格証明書を取得していて、その後雑踏警備の実務経験が1年以上あること。(現在も警備会社に所属していること。)

【講習期間と料金】
本講習…2日間 33,000円(税込)
再講習…1日間 13,200円(税込)
※本講習の後半1日を再講習日としています。
予備講習…2日間 6,600円(税込)

☆開催スケジュールに関しては、東京都警備業協会の公式HPをご確認下さい。四半期ごとの公表となります。

【本講習会当日の流れ】
第一日目
受付→開校式→学科講義→実技訓練
第二日目
受付→実技訓練→修了考査(実技試験・学科試験)

【修了考査】
学科試験…5肢択一式20問形式の筆記試験となり、合格基準は100点中90点以上実技試験…6科目で100点中90点以上が合格基準
学科試験と実技試験両方が合格基準を満たしていれば、合格となり、特別講習の課程が修了したとされます。カンニング等の不正行為を行うと、全ての修了考査が無効となります。

【合格発表】
修了考査で合格した場合、講習会修了証明書が渡されます。
交付されて日から1年以内に合格証明書交付申請を行わなければ、講習会修了証明書が無効になってしまうので、注意が必要です。

修了考査で不合格になった場合は、講習会受講証明書が渡されます。
交付された日から1年以内に、1回だけ再講習を受講することが出来る証明書です。また、再講習は1日のみで、学科講義と実技講義を2時限受講した後、修了考査となります。

警備員になろうとする者の講習

一般の方でも、警備員特別講習事業センターにて警備業務検定の講習が受講できる場合があります。
2020年では雑踏警備業務検定の講習がありませんが、他の施設警備業務・交通誘導警備業務・貴重品運搬警備業務等の一般対象講習が開催されているので、今後も期待出来るかもしれません。

直接検定で資格を取得する場合

直接検定は、個人でも会社でも申込みが可能となります。事前講習を受講しない限り、直接検定は試験のみ実施される為、特別講習会より費用は安くすみます。東京都公安委員会の直接検定をご紹介していきます。

【申込方法】
①一次受付(電話受付)
公安委員会のHPに掲載されている「受付専門電話」で申込をします。
受付は先着順となり、定員に達すると受付終了になります。1回の通話につき、1名までの申し込みが可能です。
また、受講希望者からの電話のみ受付になります。

②二次受付(書類提出)
一次受付で指定された申請先の警察署へ「申請書類の提出」と「手数料の納付」を行います。
~添付書類~
・申請者の住民票。(個人番号が記載されていないもの)
・1級検定の申込者の場合は、2級検定合格証明書と警備業務に従事した期間が1年以上であると証明できる「営業所所属証明書」など。又は、公安委員会が上記の者と同等以上の知識や能力があると認めた書面「1級検定受験資格認定書の写し」など。
・申請の6ヵ月以内に撮影した写真2枚。(無帽・正面・上3分身・無背景の縦3.0センチメートル、横2.4センチメートルの写真で、裏面に氏名と撮影年月日が記入してあるもの)

③受験票の交付
後日、申込み警察署より連絡が来ますので、受験票は申請先の警察署で受取れます。

【受験資格】
雑踏警備2級…警備業法上の欠格事由に該当しない方。
雑踏警備1級…雑踏警備2級の検定合格証明書を取得していて、その後雑踏警備の実務経験が1年以上あること。

【料金】
雑踏警備業務(1級・2級)とも13,000円です。
二次受付の際に納付する必要があります。

【合格までの流れ】
直接検定の申請→検定試験(学科試験・実技試験)→成績証明書交付→検定合格証明書交付申請
☆開催スケジュールに関しては、東京都警備業協会の公式HPをご確認下さい。

【試験について】
学科試験…五枝択一式で20問。100点中90点以上で合格
実技試験…学科試験に合格した方のみが、実技試験を受験できます。減点式採点法で、100点から採点基準に従い減点していきます。全ての実技試験科目を終了した時点で90点以上が合格基準。

個々の実技試験が終了する都度、90点以上である方が、次の実技試験へ行けます。90点未満になると、その場で不合格となり後に続く実技試験は受験出来ません。合格率は、約40%と言われています。

【合格発表後】
合格証明書を申請するには、合格後1年以内に必要書類を警察署に提出しなければなりません。
申請書類は、「合格証明書交付申請書」と「添付書類」になり、手数料が10,000円かかります。
~添付書類~
・履歴書
・個人番号が記載されていない住民票の写し(外国人の場合は国籍地等が記載されているもの)
・成績証明書(交付日から1年以内のものに限る)
・営業所に属することを疎明する書面「営業所所属証明書」
警備員の所属する営業所の所在地を管轄する警察署に提出する場合、住居地の公安委員会と異なる場合に限ります。
・身分証明書
・医師の診断書
・誓約書
・申請の6カ月以内に撮影した写真1枚(無帽、正面、上3分身、無背景の縦3.0センチメートル、横2.4センチメートルの写真で、裏面に氏名と撮影年月日を記入したもの)

まとめ

雑踏警備はイベントなど不特定多数の人が集まる場所で行う警備です。資格がなくても仕事ができますが、取得すればさらなるスキルアップや昇格が期待できるのでおすすめです。
雑踏警備での就職を考えている、雑踏警備で働いていて今後も働き続けていくという方は資格の取得を目指しましょう。

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