警備員は安定している!とよく言われますが、実際はどうなのでしょうか?
警備業界は日本の生活基盤を支える職業であり、全国警備業協会によると、全国で約55万人以上が従事している大きな業界です。業界全体の市場規模は約3.6兆円とも言われ、景気や社会情勢の影響を受けにくいのが特徴です。
本記事では、警備員がなぜ安定した職業とされるのか、具体的な収入モデルや資格取得によるキャリアアップ、将来性までを徹底的に解説します。未経験から始めたい方、転職やセカンドキャリアを考えている方にとって役立つ情報をまとめました。
参考:一般社団法人 全国警備業協会(全警協)「警備業の概況」(令和5年度版)
目次
警備員の仕事が安定していると言われる理由
社会インフラを守る需要の高さ
警備員の仕事は、建物や公共施設、イベント現場など、人々の生活に欠かせない「安全」を守る役割です。
景気に左右されやすい業種と違い、インフラや公共交通機関は常に稼働しているため、警備員の需要は途絶えることがありません。
<具体例>
- 商業施設 → 常に来客があり、警備が必須
- 公共交通機関 → 利用者の安全確保が欠かせない
- 官公庁や医療施設 → 社会インフラとして常に警備体制が必要
このように、社会全体の安全を支える仕組みに組み込まれているからこそ、警備員の仕事は安定しています。
警備業界が安定していることを裏付けるデータがある
全国警備業協会の統計(令和5年度)によると、全国の警備員数は約55万人。これは自衛官や消防士よりも多い規模です。
さらに警備業界全体の売上高は年間約3兆3,000億~3兆5,000億円とされ、非常に大きな市場規模を誇っています。
加えて、ケイサーチの求人データをみると、年間を通じて常に約9000件以上の警備員求人が掲載されています。
エリアや勤務形態を問わず案件が豊富にあるため、「仕事がなくなるリスク」は非常に低い業界だといえます。
実際の求人は以下から確認できます。
施設警備・交通誘導など多様な現場がある
警備の仕事は1種類ではなく、複数の業務区分に分かれています。
| 業務区分 | 主な仕事内容 | 安定性の理由 |
| 施設警備 | 商業施設・オフィスビルの常駐警備 | 景気に左右されにくい |
| 交通誘導警備 | 工事現場・建設現場での安全確保 | インフラ整備が続く限り需要あり |
| 雑踏警備 | イベントや祭りでの人流整理 | 観光・地域活性化に伴い増加傾向 |
| 貴重品運搬警備 | 現金・重要物品の輸送 | 金融システムに欠かせない |
さらに近年は、
- 大型ショッピングモールでの防犯体制
- 五輪や万博など国際イベントでの人流整理
- 大規模インフラ整備での交通誘
など多彩な現場があり、景気や社会情勢の分散効果によって安定性が高まっています。
高齢化社会が追い風になる
日本の高齢化率は2025年に30%近くに達すると予測されています。
高齢者が安心して生活できる環境を守るため、警備員の役割は今後さらに重視されるでしょう。
- 病院・介護施設での巡回警備
- 公共交通機関での案内・サポート
- 地域の防犯・防災活動
少子高齢化社会においても需要が途絶えない数少ない職業のひとつです。
警備員として働くメリット
①未経験からでも始めやすい
警備員の仕事は未経験者歓迎の求人が多いのが特徴です。採用後には「法定研修(新任教育20時間以上)」を受けるため、基礎知識と実務をしっかり学べます。
実際、警備員の7割は異業種からの転職者です。
②資格取得で安定収入を得られる
警備業務には国家資格があり、取得すると収入アップやキャリアアップにつながります。
【代表的な資格とメリット】
- 交通誘導警備業務2級:工事現場でリーダー業務可能
- 施設警備業務2級:大型施設の責任者になれる
- 雑踏警備業務2級:イベント警備で配置責任者になれる
- 貴重品運搬警備業務2級:現金輸送業務を担当可能
- 警備員指導教育責任者:教育・管理職へ昇格可能
資格手当(月5,000〜20,000円)が支給される会社も多く、資格を取るほど安定した収入が期待できます。
【資格有無の収入比較例(職種別)】
■交通誘導警備員の場合■
- 無資格:月収23万円前後
- 交通誘導警備業務2級:月収25万円(+資格手当5,000円)
┗工事現場でリーダーや配置責任者を任されることが多く、現場手当も支給されやすい
■施設警備員の場合■
- 無資格:月収22万円前後
- 施設警備業務2級:月収25〜26万円(+資格手当7,000円)
┗オフィスビルや商業施設での巡回・管理業務を担当。資格保有で責任者手当が付くケースも多い
■管理職(指導教育責任者資格あり)の場合■
- 月収28万〜30万円
┗現場スタッフの教育や配置管理を担う立場。経験年数に応じて昇給・役職手当あり
③シニア世代のセカンドキャリアに最適
60歳以上の採用事例が多く、70代でも活躍している方も珍しくありません。
年金と組み合わせて、週2〜3日の勤務で安定収入を得られるため、定年後の働き方としても人気です。
④女性警備員の需要拡大
警備員=男性のイメージが強いですが、近年は女性の活躍も増えています。
全国警備業協会(全警協)のデータによると、
- 2010年度の女性警備員比率:約4%
- 2023年度の女性警備員比率:約7.7%
この10年余りで女性比率は約2倍に増加しています。
<主な活躍の場>
- 受付・巡回・案内など「接客対応を伴う警備」
- イベント・医療施設など「女性対応が望まれる現場」
- 商業施設やオフィスビルのインフォメーション・出入口管理
さらに、女性が働きやすい環境づくりも進んでおり、
- 日勤専属・時短勤務・週3日勤務可
- 女性専用更衣室・制服の見直し
といった制度整備が進んでいます。
これにより、育児と両立しながら安定して働ける職場も増加中です。
👉 警備業界は今後も「女性警備員の将来性」が高い分野の一つといえるでしょう。
参考:一般社団法人 全国警備業協会「警備業の概況」令和2年度版・令和5年度版(※統計上の「女性従事者割合」を基に算出)
警備員が安定して長く働くためのポイントと将来性
信頼される人材になることが安定して働き続けるカギ
警備員として長く安定して働くためには、
まず「信頼される人材」であることが何よりも大切です。
警備の仕事は、人や施設の安全を守る“責任のある職業”であり、
現場での評価や契約継続にも直結します。
信頼される警備員の共通点は以下の通りです。
- 挨拶や礼儀を徹底し、周囲と良好な関係を築く
- 清潔感のある身だしなみを保つ
- 誠実で冷静な対応を心がける
- 与えられた持ち場を責任を持って守り抜く
これらを意識することで、企業や現場からの信頼が積み重なり、
「次の現場でもお願いしたい」と継続的に声がかかるようになります。
つまり、信頼を得ることこそが、警備員としての安定した雇用と収入を支える土台なのです。
健康管理をして長く働く
立ち仕事や夜勤もあるため、体調管理が欠かせません。
- 睡眠をしっかり取る
- 軽い運動やストレッチを習慣化
- 水分補給を意識する
体調管理ができれば、安定して長期的に働けます。
キャリアアップで収入安定
安定して働き続けるには、資格取得と役職経験がポイントです。
【キャリアアップの例】
- 交通誘導警備業務2級を取得
- 班長として現場を統括
- 指導教育責任者の資格を取得
- 教育担当や管理職に昇格
この流れを踏めば、収入もキャリアも安定します。
警備員のキャリアの多様化
警備員のキャリアは「現場で一生働く」だけではありません。
- 警備会社の支社長や教育担当に昇格
- 機械警備・監視センターなどセキュリティ関連部門へ異動
- 自衛官・消防士などからの再就職、あるいは逆に警備から公共職への転職実績もあり
👉 長期的に見れば、現場での経験を基盤として多様なキャリアパスを描けることも、安定性の強みの一つです。
警備員の仕事はきつい?安定して続けられる理由を徹底解説
インターネット上で「警備員はきつい」という声も多く見られます。
確かに屋外勤務や夜勤など体力的に大変な面はありますが、
景気に左右されない安定性や資格による収入アップがあるため、
「きついけど安定して続けやすい仕事」と評価されています。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
警備員の働き方と収入モデル
雇用形態別の特徴
- 正社員:平均年収350〜400万円、賞与・福利厚生あり
- 契約社員:年収280〜350万円、正社員登用あり
- アルバイト:日給8,000〜12,000円、シフト自由
➡自分にあった働き方を選べるのも、警備員の安定性の理由です。
日勤・夜勤の違い
- 日勤:平均日給 9,000円前後
- 夜勤:平均日給 11,000〜13,000円(深夜割増あり)
※企業による違いあり
夜勤を中心にすれば、月収25万〜30万円も可能です。
年齢別モデルケース
- 20代未経験(常駐警備/正社員・週5日勤務)
月収:22万円+残業代
➡ 未経験からスタートしても、研修を受けながら安定した月給制で働けるケース。社会保険や賞与がある企業も多い。
- 30代有資格(交通誘導2級/契約社員・週5日勤務)
月収:28万円(資格手当含む)
➡ 現場リーダーとして活躍し、資格手当や現場手当がつくことで収入が安定。夜勤や週末勤務を組み合わせて月30万円以上も可能。
- 60代シニア(週3勤務/アルバイト)
月収:12〜15万円(年金と併用で安定)
➡ 無理のないシフトで働けるため、健康と両立しながら長く続けられるのが特徴。
資格と手当の関係
例①:30代男性・交通誘導警備業務2級持ち
- 基本給+資格手当5,000円+班長手当10,000円
- 月収:約28万円
例②:40代女性・施設警備業務2級持ち
- 基本給23万円+資格手当7,000円+夜勤手当15,000円
- 月収:約26万円
例③:50代男性・警備員指導教育責任者資格持ち(管理職)
- 基本給27万円+資格手当20,000円+管理職手当30,000円
- 月収:約32万円
警備員の安定性に関するよくある質問
Q. 警備員の仕事は長く続けられる?
A. 公共事業や都市開発が続く限り需要はなくなりません。むしろ高齢化社会で需要が増える傾向にあります。
Q. 未経験でも安定して働ける?
A. 採用後の「新任研修(20時間以上)」で基礎を学べるため安心です。異業種からの転職者も多いです。
Q. 女性警備員は需要ある?
A. 受付・巡回業務などで女性が活躍できる現場が増えています。
Q. 景気が悪化しても仕事はある?
A. 商業施設・交通インフラ・医療機関など景気に左右されにくい現場が多いため、安定した雇用が維持されています。
Q. 地方と都市で違いはある?
A. 都市部は大型商業施設やイベント、地方はインフラ整備や公共工事で需要が高く、いずれも安定した求人があります。
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【まとめ】警備員は安定して将来性のある仕事!きつさ以上の魅力とは?
警備員は、社会の安全を守るインフラとして欠かせない存在です。
- 警備員は約55万人が働く大きな業界
- 景気に左右されず、需要が今後も続く
- 体力的に「きつい」面はあるが、安定性が圧倒的に高い
- 資格やキャリアアップで収入も伸ばせる
- 未経験・シニア・女性も安心して働ける
安定した職業を探している方にとって、警備員は有力な選択肢です。
仕事内容の「大変さ」や「きつさ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。























