【最新版】警備業界の動向と今後の課題

警備業界の現状、そして未来はどうなっていくのでしょうか。2020年の最新情報をまとめました。業界の歴史や今を知りたい、業界研究がしたい、とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

警備業界の基本データ

警備業とは?

人や財産を守り、安心安全な生活を届ける仕事です。世界技術が発達し、犯罪も多様化してきました。世の中の変化に柔軟に合わせながら成長を続ける、絶えることの無い業界と言えます。

警察と警備の違いって?

制服などの外見的な違いもありますが、決定的な違いは権限の有無です。警察官は公務員なので、法に反する人に対してある程度の強制力を持っています。警備員はあくまで民間会社に雇われた一般人であり、トラブルを防止したり治めることが仕事ですが、逮捕するといった権限は持っていません。
例えば、警備員が配置されている施設に人が侵入しようとした時、警備員は入らないよう、警告することしかできません。それを無視して侵入された場合に無理やりつまみ出すことは不可能なので、警備員は警察に通報することになります。

警備業界の規模

警備業者と警備員数の推移

警備業者の業者数は令和元年時点で9,908業者で、例年緩やかに増加傾向にあります。警備員数も同じ傾向にあり、令和元年で57万727人になります。雇用状況は、常用警備員が51万5831人、臨時警備員が5万4896人です。
また、女性警備員の需要が増えてきており、3万6973人になります。これは全警備員数の6.5%にあたります。

警備会社の警備員数別割合

警備会社によって所属している警備員数は異なります。警備員数が100人未満の警備会社は8,885業者で、全警備業者の89.7%にあたります。

警備業界の区分

警備業は大きく4つに区分され、それぞれの業務内容は異なります。

  • 1号警備業務常駐施設警備機械警備などが当てはまります。施設内外の巡回や立哨警備、出入管理を行うことで、施設の利用者の安全を守ります。
  • 2号警備業務交通誘導警備雑踏警備などが当てはまります。イベント会場や工事現場といった、人の多い場所での誘導や案内を行うことでトラブルを防ぎます。
  • 3号警備業務:貴重品運搬警備や核燃料物質等危険物運搬警備が当てはまります。現金や危険物を目的地まで護送することで、盗難や紛失を防ぎます。
  • 4号警備業務身辺警備が当てはまります。一般的にボディーガードのことを指します。危険に晒される恐れのある人や物の警護を行い、安全を守ります。

警備業界のこれまで

1962年、国内初の警備保障会社である「日本警備保障株式会社(現セコム)」が誕生しました。しかし、当初の日本には「水と安全はタダ」という考えがあり、警備業はあまり重要に思われていませんでした。1964年に開催された東京オリンピック選手村の警備から次第に認知されるようになり、その後も高度経済成長期と共に発展します。
大規模イベントでの警備需要の増加や監視カメラなどを用いる機械警備の普及、金融機関での現金輸送など、警備業界の需要は年々増加していきます。

警備業界の現在

現在は、地域のパトロールや学校警備、災害時の被災地パトロールといった、より地域に寄り添ったサービスを提供することで、地域社会に貢献しています。また、一部ではありますが、刑務所の管理業務の受託も行っています。
さらに、国際的にテロ組織が活発化してきており、空港や原子力発電所といった施設の警備にも携わっています。そういった重要な施設の警備には専門的な知識、技術が求められるので、業務内容や教育制度も常に進化し続けています。

警備業界のこれから

多様化する需要に合わせ、警備業界は様々なサービスの開発、発展に力を入れています。
家庭向けのサービスでは、各センサーや火災報知機、スマートフォンと連動して緊急時にお知らせするシステムなどが挙げられます。医療業界と連動することで在宅医療サービスやネットワーク医療を展開している警備会社もあります。
企業向けのサービスでは、遠隔で監視できるオンラインの警備システムや、企業や学校などの機密情報の漏洩を防ぐ警備システムが挙げられます。

警備業界はAIに乗っ取られる?

「AI技術の発展により、警備員の仕事は無くなってしまうのでは?」と考える人もいるかもしれません。確かに、技術発達により犯罪も多様化してきている一方で、警備業界は常に人手不足状態です。警備員の代わりに、AIやロボットを用いる体制は必要になってきます。しかし、AIを活用する機会が増えても、警備員がいらなくなることはありません。

AIだけで警備は出来ない

AIにもできないことはあります。例えば、トラブルを察知することはできても、解決することまではできません。また、ロボットが破損してしまったり、盗難被害に遭う可能性もあります。何らかの原因により電気供給が止まってしまった場合、システムも停止してしまいます。
また、AIはデータに基づいて行動するため、柔軟な判断を下すことができません。人や車両の出入が激しい交通誘導警備などでは、状況に合わせて迅速な判断を取らなくてはなりませんので、こういった現場では警備員が必要になってきます。

警備業界とオリンピック・パラリンピック

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、警備の需要が更に高まるとされていましたが、コロナウイルスの影響により、延期となってしまいました。オリパラのために他の仕事を断っていたり、積極採用をした警備会社もありますので、影響は深刻です。
セコム株式会社と綜合警備保障株式会社が共同代表になり「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」を立ち上げました。現在、21年の開催予定にむけて民間の警備員を1万4千人以上募集中です。

警備業界の課題

警備業界は慢性的な人手不足にあります。待遇の割に業務内容がきつく、体力的に長く続けられる人はあまりいません。また、給料の未払いや法定研修を受けさせない、長時間労働を強制するといった、ブラックな警備会社がまだ存在するのも事実です。警備業界に携わる全員が協力して、改善していかなければなりません。

外からも改善できる

2020年は感染対策のため、マスクを着用させる警備会社が殆どです。夏は暑い日差しの中、制服とマスクを着けて何時間も立つことになります。会社によって、平時は座ったり、日陰に移動することを許可していますが、「警備員が座るな」「マスクをつけるな」「日陰に立つな」といったクレームがあれば、トラブルを大きくしないために従う警備員が多いです。そうなると、より厳しい環境で仕事をしなくてはいけません。
警備員への理解の無さ、理不尽な態度をとることも、警備業界のイメージ悪化の一因と考えられます。周囲の人々の意識も変えていかなければなりません。

警備業界のこれまでとこれからまとめ

警備業は1960年代ごろに生まれました。当時、警備は重要視されていませんでしたが、64年の東京オリンピックから注目を浴び始め、世間のニーズに合わせながら現在も事業を拡大しています。
今後はAI技術がより発達することが考えられますが、警備員が不要になることはありません。トラブルを察知することはできても、解決することはできないからです。また、交通誘導など咄嗟の判断が必要な現場では、警備員が必要になります。
警備業界が人手不足である原因として、待遇の悪さの他に周囲の人々の警備員に対する考え方もあります。警備に携わるかどうかに関わらず、全員の意識を変えていかなくてはなりません。

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