【2022年版】夜勤に潜む「健康へのリスク」 軽減に必要なのは?

警備員の求人を探していると目にすることも多い「夜勤」。
コンビニスタッフや看護師など、警備員に限らず様々な業種にあるものですが、よく聞かれるのは「夜勤は体を壊す」といった健康面でのデメリットです。

この記事では、夜勤が及ぼす“健康面でのリスク”とその軽減策や向き合い方について、お伝えします。

夜勤の実態は?どんな仕事がある?

まず、夜勤とはそもそもどういった勤務形態なのでしょうか?

夜勤とはその名の通り「夜に勤務をする」ことで、割増賃金が発生する“夜勤帯”の時間帯は「午後10時から午前5時まで」と労働基準法で定義されています。
勤務形態は、日勤と交代で行う「二交代制」と「三交代制」が一般的に浸透しており、24時間体制で対応しないといけない仕事が多い傾向にあります。
また、他に共通している点でいえば、「少人数で業務をこなす」なども挙げられます。

夜勤のある仕事

では、24時間体制で行う仕事には、どんな仕事があるのでしょうか?
代表的な仕事をまとめました。

・医療職
看護師や医師などの医療関係者は、人の健康や命を取り扱う職業のため、必然的に24時間体制で行うことになります。
病院内の見回りや日勤帯で行えなかったカルテの作成など、夜勤時の業務は多岐に渡り、その中で患者さんの容態を気にしながらの業務となるので、他の業種とは違った“命を扱う”という責任感があります。

・介護職
老人ホームなどの介護施設で、入居者の生活をお世話することが主な仕事となります。
そのため、利用者が居住するタイプの施設では、夜間の世話をする人が必須になってきます。
施設内の見回りや食事のサポートなどが主な業務内容となりますが、入居者の体調変化による緊急の対応も求められるなど緊張感のある仕事といえます。

・警備員
警備員も夜勤の多い職業といえるでしょう。
交通量の多い大きい道路は工事が夜間に行われる傾向にあるため、その場合は夜勤で交通誘導をする必要があります。
また、オフィスビルや病院などの施設でも防犯の観点から夜勤を導入しています。
どちらも仕事内容は昼とほぼ同じで、業務量も少ない上に給与が高いことから、比較的人気のある勤務形態になっています。

・インフラエンジニア
サーバーやネットワークなどのIT基盤を扱うのがインフラエンジニアで、現代のネット社会において重要な職業といえるでしょう。
夜勤がある理由としては、夜間でサーバー等の不具合があった場合の対応のほか、日中の安定稼働を優先するために、新システムの導入を夜間に行うなどの対応があるためです。

・ホテルスタッフ
ホテルは特別なメンテナンスなどない限りは年中無休であり、スタッフは常にお客様に対してホスピタリティが求められます。
夜勤のあるポジションとしては「フロント」に多い傾向にあり、夜間の業務は、翌日の宿泊客リスト作成や書類作成などの事務作業などが主な内容となります。

夜勤が及ぼす健康リスク

責任感や緊張感がある反面、高収入や日中の時間を有効活用できるなどのメリットもある夜勤。
しかし、夜勤は体に及ぼすリスクが高く、長期的に続けると「がん」「心筋梗塞」などの発症率をあげると言われています。
では、なぜ夜勤にはそういった病気の発症リスクがあるのでしょうか?

生活リズムの変化

まず、夜勤があると昼夜逆転の生活になります。
そうすると体内時計が狂い、季節・睡眠リズムなどの調整を行う「メラトニン」の分泌が正常に行われず、眠りが浅くなったり、慢性的な疲労を感じるようになります。
このような状態が続くと、ストレスや睡眠不足が溜まっていき「がん」や「うつ病」、「心筋梗塞」などの病気を発症しやすくなるのです。

睡眠の問題

この「メラトニン」の分泌が正常に行われない理由として一番に挙げられるのが“睡眠不足”です。
日勤で働く人と夜勤で働く人を比較したある研究では、不眠症で悩んでいる人の割合が「日勤16.3%:夜勤23.6%」、勤務時間中の眠気だと「日勤24.4%:夜勤31.8%」など、夜勤で働く人が睡眠に問題を抱えていることが分かりました。
こういった問題を放置し続けると、「糖尿病」「肥満症」など重大な問題へと発展してしまうのです。

外国では労災認定も

2007年にWHO(世界保健機関)の関連機関「国際がん研究機関」が、「交代勤務(日勤・夜勤を挟んだシフト)に発がん性あり」と認定しました。
その発表が影響し、デンマークでは、夜勤を20年以上続けた女性が「乳がん」にかかった場合、国が補償を出す労災認定をしました。
このように、夜勤を続けることが人体に悪影響を及ぼしているということを暗に示しています。

うまくリスクと付き合っていくには…? 軽減策を紹介

夜勤を続けることの危険度をお伝えしましたが、それでも夜勤が必要な仕事も多くあり、そこで働く人はそのリスクと付き合っていかなければなりません。
どういった取り組みをすれば、負担を軽減できるのでしょうか?

睡眠面

1つは睡眠不足です。
この難しい課題を解消できれば、かなりの負担が軽減できることでしょう。
そのためには、まず体内時計を整えることです。
夜勤明けの日は仮眠を2~3時間程度に抑えるほか、日中に起きている時間をキープして光を浴び、夜しっかり寝れる状態を作ります。
光を浴びることで「メラトニン」の分泌を防ぎ、生活リズムの安定化を図ります。
また、夜勤中に仮眠ができる場合は2時間程度に抑えて寝ると、質のいい睡眠ができるといいます。

食事面

食事も重要な課題の1つになってきます。
この問題ですが、最近の研究だと食べる時間が重要であることが分かってきました。

まず夜勤前を起点にして、「朝・昼・夜」を規則的にとれる時間を設定します。
例えば、17時~翌8時までの勤務だったとして、勤務前の食事を“朝” (15時ごろ)と捉えます。そして勤務中の休憩時間などに食べる食事を“昼” (22時ごろ)、勤務後に食べる食事を“夜”(翌9時ごろ)と捉えましょう。
これは一例に過ぎませんが、夜勤の開始時間を「朝」だと体に錯覚させ、規則的に食事をとることによって、体内時計の乱れを防ぐことができます。
また、朝はご飯やパンなどの炭水化物、昼食はたんぱく質を摂取できるもの、夜は脂っこいものを避けるなど、食事内容にも注意するとなお良いでしょう。

環境面

もう1つは働く環境です。
家族や友人など、周りが夜勤に理解を示してくれるかも重要になってきます。
寝る時間や食事のことなど、一緒に住んでいる人が考えてくれることで、精神面での安定にもつながります。
また、体調の悪化などで夜勤を続けられない場合は、配置換えをお願いするなど、環境を一新することも1つの手です。
人間には自然治癒力が備わっているので、一時的に夜勤でなくなることで、疲れや生活リズムの乱れも徐々に回復してくることでしょう。

リスクを理解して働くことが大事

何も対策をとらずに夜勤を続けていくと、徐々に体に支障をきたしてきます。
そして、最悪の場合は「がん」や「糖尿病」になってしまうことも考えられるでしょう。
そうならないためにも、体内時計を整えたり、食事の時間を意識することで、“夜勤に合った体”を作っていくことが大切です。
このように健康を意識し、努力を続けていくことが、長く夜勤を続ける秘訣なのではないでしょうか?

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