昨今、成長著しいAI(人工知能)。
最近では、人が質問をしたら、的を得た回答をしてくれるWEBサービスまで出てきており、将来の人の必要性を考えると「少し怖いな…」と思ってしまいます。
警備業界にもAIの波は来ており、AIを活用したシステムの導入が少しずつ進んでいます。
この記事では、導入したシステムの一部紹介や、将来の警備員の必要性などについてご紹介します。
目次
人手不足で進む技術の導入
警備業界は慢性的な人手不足というのもあり、人の手を必要としない技術の導入が進められています。
例えば、骨格の動きから人を判別し、不審な人物がいないかを見張る技術や、AIを搭載したバーチャルキャラが警戒監視・受付業務を行うものなど、人がいなくても安心・安全が保障される環境を整えている最中なのです。
また、機械警備だけで言えば、対象施設は長期的に増加の傾向にあるにも関わらず、会社自体は減少しているというデータも見られます。
これを追って説明しますと、機械警備システムの技術が向上し、それを運用するとなると、それなりの規模の設備投資や研究開発が必要となります。
そのため、技術革新に対応ができない小さな会社は、企業への取り込みや廃業を余儀なくされ、会社自体の数が全体的に減っているということが考えられます。業界としては最新技術の導入に力を入れているということが、この図からは垣間見れるという訳です。
AIを活用した警備とは…
このように警備の世界でも成長著しいAI。
では、AIを活用した警備というのはどういったものがあるのでしょうか?
バーチャル警備員
これはディスプレイ型のミラーに3Dで表示されたバーチャル警備員が、警戒監視や受付業務などを行うというものです。
このバーチャル警備員にはAIが搭載されており、施設に訪れた人が話しかけると、音声を自動認識して受付業務を行ってくれるほか、救援の要請を声掛けすれば、防災センターに通報が行って常駐の警備員が駆け付けてくれます。
立哨・受付の業務を実際の人間が行う手間が省けるので、作業工数が少なくなり、人手も抑えられるメリットがあると言えるでしょう。
AIによる交通誘導システム
AIの活用は交通誘導警備でも導入が始められています。
「KB-eye for 交通誘導警備」というシステムは、片側交互通行の際に車両や人の動きをAIカメラが感知し、付属のLED看板が一度停止を指示、あわせて警備員への通知を自動で行うものです。
本線で警備を行う警備員はそれに応じて、スマホでLED看板に停止・発進の指示が送れ、少ない人数で警備を行えるようになります。
警備員の割合が多い2号警備において、2人必要な現場でも1人でできるようになり、人手不足の改善に効果のあるシステムと言えます。
行動認識AI
このシステムを簡単に言うと、AI機能が備わっている防犯カメラと言ったところでしょうか。
異常行動や不審行動の検知はもちろん、AIがカメラに映る人の行動を学習することで、普通の動きとは違った行動を「違和感行動」として認識して警備員に通知し、事件などを未然に防ぐというものです。
警備対象として多くの人数をカバーできる点や、人が気付けないポイントも抑えられる点など、人手不足の改善以外にも効果が期待できます。
近い将来、人が警備をする必要がなくなる?
警備を仕事としている人にとって気にかかるのは、将来、人の手は必要なのかという点。
実際、警備の技術化は進んできており、「人がやる仕事なんてなくなってしまうのではないか」と思ってしまうのも分かります。
ですが、完全に人の手を離れた警備というのは、まだまだ先の話と言えるでしょう。
人的トラブルは人にしか対応できない
クレームや喧嘩など、人が起こすトラブルをAIが止めることはできません。
このようなトラブルは、人の一時の感情により起こるため、感情のないAIにとっては理解不能であり、問題の解決はできないと言えるでしょう。
人であれば、クレームや喧嘩が起きた原因の理解を示すことができ、それに応じた説得も可能です。
また、必要であれば警察を呼ぶ等の行動を即座に行えることも、人の強みなのではないでしょうか。
技術を作るのは人間。警備のノウハウも必要!
AIを警備に取り込むシステムを作り上げているのは人間です。
また、システムにどんな効力を求めるのかは、警備のどのような部分で危険が及ぶのかを理解している警備員の力が必要です。
AIは今までのデータを基に警備対応を行っていますが、事故の発生原因の多様化もあり、実際に警備を行っているリアルな“体験談”がなければ、システムをアップデートすることはできません。
そのため、事件や事故の防止のためには、人の力がまだまだ必要なのです。
イレギュラーに対応できるのは人間
前項目でも述べた通り、AIは過去のデータを基に警備対応を行っています。
そのため、過去にない事象が起きれば、対応ができず危険へと繋がってしまう可能性があります。
人であれば、予測できなかった事態にも臨機応変に対応することができますし、危険への予知をすることも可能です。
もちろん勘や経験を頼って事故を招く場合もありますが、「直感」というのはAIにはない能力であり、自分の能力に慢心せず注意力を磨いていけば、今後の事故防止にもつながるはずです。
今後の警備で人に求められることは…
まだまだ人の力が必要な警備業界とはいえ、AIの発達が進めばやれることが少なくなってきます。
この先も業界で必要とされる人材でいるためには、資格はもちろん、警備以外の知識も入れておく必要があると言えるでしょう。
ITのことを知る
ITの知識を深めていけば、システムの技術トラブルなどにも対応できるようになり、管理者としてのキャリアも確立できるかも知れません。
特に機械警備はその名の通り、機械を駆使しながら行う警備なので、仕事の中で必然的に警備に必要なIT知識が身につきます。
また、「機械警備業務管理者」の資格を保有していると、機械の維持管理、運用を円滑に行うための計画の施策なども行えるため、より知識の幅が広がるのではないでしょうか。
人員の管理を学ぶ
向上心を持つこと
資格はもちろんあればアドバンテージに繋がりますが、現状に満足しない向上心も大切です。
自分のポジションが上がるごとにやるべき仕事も増えていき、大変だと感じることは多いでしょう。
ですが、できることも増えていき、自身がそれまでに学んだことをAIに取り入れる提案ができる立場になれるかもしれません。
そうなることができれば、AIが台頭しても今後の警備を担う人物として、より業界に必要な人間となれるのではないでしょうか。
どんな職業もそうですが、時代の変化とともに個人も変化していく必要があります。
まずは今、警備員に求められていることを理解し、自分のやれることの幅を少しずつ増やしていくことが未来の警備員への一歩となるでしょう。