駐車監視員の仕事内容と駐車違反となってしまった場合の流れを解説!

街中を歩いていて、緑色の制服に黄色の反射ベストを着た方を見たことありませんか?
路上駐車している車や自転車の横で、端末を持ちながら二人一組で作業しているこの方たちは…「駐車監視員」と呼ばれている方たちです。
SNSやネット界隈では「ミドリムシ」「緑のおじさん」といった呼び名を聞きますが、駐車監視員の方たちは、車や自転車が禁止区域で違法駐車をしていないかパトロールしてくれているのです。

今回は、「見た事あるけど何しているかわからない…」駐車監視員にスポットを当ててご紹介していきます!

駐車監視員は、“みなし”公務員??

本来、駐車違反の取締まり業務は警察の仕事ですが、同じように駐車違反の監視をしている駐車監視員は「みなし公務員」として業務を行っています。

駐車監視員は、2006年6月1日に道路交通法が改正された際に登場しました。
警察庁が民間企業に委託し、元々警察の仕事であった駐車違反の取締まりを「駐車監視員」が行えるようになったのです。
それにより、取締まり業務が大幅に効率化し、放置違反車両は年々減少へと傾き始めました。街中で業務する駐車監視員は、2006年から今まで、人々の安全を守る公共的な職業と言えるでしょう。

「みなし公務員」と名称されているのは、「駐車監視員」が駐車違反の取締まりを行っている間、公務員と同等の扱いを得ているからです。
例えば、監視員が業務中に暴力的な攻撃を受けた場合、公務執行妨害が成立し、攻撃した側は逮捕される恐れがあります。クレームや怒りをぶつけられたとしても「みなし公務員」である限り、保護される権利を持っているため、自分の身を守る手段はあるという事です。

駐車違反のステッカーを貼られたら、どうすればいいの?

では、「駐車監視員」に駐車違反を取られた場合は、一体どうすればいいのでしょうか。

違反者の立場になって解説していきます。


違反したおじさん
違反したおじさん
車で走行中、トイレに行きたくなった為、路上に駐車してコンビニへ向かった。
その後、少し買い物をしてから車へ戻ると、黄色い縦長のステッカーがフロントガラスに貼ってある事に気付く。
訝し気にそれを見ると「放置車両確認標章」と書いてあり、初めて自分が駐車違反の対象になったのだとわかった。

●解説〇
禁止区域に路駐し運転手が車両から離れた瞬間、「駐車監視員」による取締まりが開始されます。
確認標章は、道路交通法が改正される前、サイドミラーやフロントグリルに輪っかタイプのものが取り付けられていましたが、現在はステッカータイプのものがフロントガラスに貼り付けられます。

※違反ステッカーイメージ画像

違反したおじさん
違反したおじさん
初めてなので、どうしていいかわからず、駐車違反のステッカーを読むと「この車は“放置車両”である事を確認しました。この車の使用者は公安委員会から放置違反金の納税を命ぜられることがあります。」と記載されていた。どうやら違反金を支払わなければならないようだ。

●解説〇
まず、この駐車違反は使用者(車検証に記載されている人物)に対して発行されています。後日関係書類が自宅に郵送されてくるので、使用者は必ず放置違反金(反則金と同額)の納付をしなくてなりません。
※車の使用者と運転手が違う場合は、関係書類は所有者宛に郵送されてきます。

違反したおじさん
違反したおじさん
これを持って警察へ出頭するべきか、迷うところではあったが「速やかに移動してください」の文字を見て、急いでステッカーを取り外し、車を発進させたのだった。

●解説〇
違反ステッカーは車を運転する前に、取り外して問題ありません。
警察への出頭に関しては、確認標章に命令文が記載されていないため、強制ではないことがわかります。(強制である場合もあります。)
「この車を駐車した運転手が警察署に出頭するなどして、この違反について違反金を納付した場合等は、使用者に対する放置違反金納付命令は行われないこととなります。また、その運転者には、法令の規定により、いわゆる免許点数が付加されることとなります。」
つまり、運転手が警察署に出頭すると、違反点数(免許点数)が付加され、違反金の納付をしなければならないという事です。

違反したおじさん
違反したおじさん
後日、書類や納付書が郵送されてきた。そこでも特に出頭命令が無かったので、罰金だけコンビニで支払って手続きが終わった。

●解説〇
放置違反金は、必ず納付期限までにコンビニ等で支払います。今回は、青切符が交付されないので、違反点数は不可されませんが、放置違反金を納付したことは記録に残ります。放置違反金の納付が一定回数を超えると「車両の使用制限命令」を受ける可能性がありますので注意が必要です。


今回は、運転手と車の所有者が同一人物でしたが、もし別の人物の車であったり、レンタカーであった場合、必ず車の所有元にお伝えください。
納付書や関係書類は、車検者に送られてくるので注意が必要です。

駐車違反が成立するタイミング

駐車監視員が「放置車両確認標章」をフロントガラスに貼り付けた時点で、放置違反が成立します。

駐車監視員は放置違反車両を見つけたら、測量などのデータ入力を行い、駐車ステッカーを印刷し、それをフロントガラスに貼ります。貼られたら最後、取り消すことも不可能です。

駐車監視員がもたらす影響

2006年6月1日から発令した駐車監視員制度の効果は、果たしてどのくらいあったのでしょうか。

警察庁交通局が平成30年に実施した東京都特別区における、瞬間路上駐車台数が年間別調査をもとに、比較していきます。

まず、駐車監視員が配置される前の2005年の瞬間路上駐車台数は、105,388台でした。
そこから、2006年より駐車監視員の取り締まりが始まり…2010年では、58,277台とわずか5年の間で47,111台減少しました。
効率的な事を考えて、放置車両を確認しやすい場所を重点的に監視しているのもありますが、放置違反の数は確実に減ってきており、2018年時点では、52,675台までとなりました。

また、駐車車両への衝突による交通事故は、2005年の死亡事故件数が6,691件もありましたが、2018年には3,449件と半分以下に減少されました。
よって、駐車監視員制度が開始してからは、確実に違反駐車と事故数が減ったことがわかります。

しかし、この結果はあくまで東京都の特別区を対象にしただけなので、地域によっては違法駐車が減ったと実感できない地域もあるのが現状です。

駐車監視員になるには?

駐車監視員になるには、必ず「駐車監視員資格者証明書」を取得していなければなりません。取得するにも、国家資格である「駐車監視員」の講習に申込み修了考査を受験する必要があります。

駐車監視員 資格取得方法

公安委員会(警視庁)にて、駐車監視員資格者講習が行われており、取得するにはそれを受講する必要があります。道路交通に関する法令の知識や、放置車両の確認等の必要技能など、2日間の日程で行います。

修了考査に合格すると、公安委員会から駐車監視員資格者講習修了証明書が交付され、そこから駐車監視員資格者証の交付を申請する事が出来ます。

~東京都内で受験する際の例~

【講習について】
講習は、およそ年に1度の開催になります。
人気の講習になるので、定員に達して受付を終了してしまう事もあります。
2021年1月18日~19日までの東京都の講習予定人数は400名。
既に受付は終了しており、2022年以降の応募に関しては詳細が決定次第、警視庁のHPに掲載されます。

【修了考査】
2日間の講習を受け終えたら、早速修了考査を受験します。(修了考査は1日かかります)
出題内容は、講習を受けていたらわかる範囲なので、しっかり勉強しておけば問題ありません。

出題形式はマークシートで、50問中45問以上正答すれば合格出来ます。
(試験の9割以上を正答しなければ不合格と明確化されています。)
修了考査は筆記試験のみで、技能試験などはありませんので、確実に点を取る必要があります。
合格率は全国平均70%以上と言われ、自動車運転免許の学科試験を経験と比べれば、それほど難しい試験ではありません。

【受講料金】
駐車監視員資格者講習コースの受講料19,000円。

【応募資格】
学歴・実務不問
「暴力・犯罪に該当する行為をする可能性がある」「覚せい剤・アルコール依存症」に当て嵌まらず、18歳以上の人であれば誰でも問題ありません。

【応募からの流れ】
①受講申し込み期間に、申し込み手続きをした後、東京都内警察署の会計係に手数料を支払います。
②支払い後、受講票が自宅に郵送されてきます。
③講習2日間を受講し、考査1日を受験します。
④考査に合格後、会場内で講習修了証明書が交付されます。
⑤近くの省察所で「駐車監視員資格者証」の交付申請を提出します。
~駐車監視員資格者証の申請に必要な書類~
・申請書
・駐車監視員資格者講習修了証明書又は、認定書
・住民票の写し(戸籍の表示、又は国籍等の記載があるもの)
・診断書
・誓約書(資格者証交付申請用)
・写真2枚
⑥警察署の会計係に手数料を支払う
※手数料9,900円
⑦資格者証交付要件の調査
⑧駐車監視員資格者証交付簿に搭載
⑨駐車監視員資格者証の受領

申請した警察署から電話連絡が来ます。
駐車監視員資格者証が交付された後、
駐車監視員の会社に勤めてからが本当のスタートになります。

まとめ

駐車監視員をこれから職業にしていきたいと思っている方は、資格の取得や、違反者から目の敵にされやすいなど…仕事をする上で、ある程度の心構えが必要だと言えます。全ての仕事においても緊張感は必要ですが、人の命が守れる仕事をするには、それ相応の知識と準備が必要だということです。
どんなに目の敵にされたとしても、事故防止のために駐車監視員は必要不可欠な存在です。資格取得に関しても、決して難易度が高いものではないので、比較的手が伸びやすいでしょう。人々の命と安全を守る駐車監視員に興味を持った方は、是非チャレンジしてみてください!

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